人権尊重の取り組み

人権デュー・デリジェンスの実施

大林グループは、執行側に設置したヒューマンライツ専門委員会(委員長:人事担当役員)およびサプライチェーンマネジメント専門委員会(委員長:調達本部長)で、人権デュー・デリジェンスの取り組みとともに、サプライチェーンを含めた人権課題の解決および人権の啓発を推進することにより、その実効性を高めています。両委員会は、それぞれ人事部門、調達部門が中心となり、関係部署が協働して部門横断的に取り組みを進めています。

2011年度の人権方針策定からこれまで、人権デュー・デリジェンスの各種取り組みや体制整備を進めてきており、2022年度にはグループ全体で中期的に進めるロードマップを策定しています。このロードマップに沿って、2023年度は、当社で実施している取り組みの国内グループ会社への展開や、主要事業部に対し人権リスクのチェック体制構築に向けたモニタリングを試行しています。今後も策定したロードマップに基づき、人権尊重の取り組みを進めていきます。

大林グループが優先的に取り組む人権課題

児童労働、強制労働および人身取引、差別および脆弱な立場に置かれやすい人への合理的配慮、ハラスメント、劣悪な労働環境および生活環境、適正な労働条件の整備、建造物の安全性確保、地域住民の生命および健康の侵害、プライバシーの権利侵害

【人権デュー・デリジェンス推進体制】

【人権デュー・デリジェンスの実施状況】

年度 大林グループにおける取り組み サプライチェーンマネジメント
(CSR調達の推進)
2011年度 大林組人権方針を策定 大林組CSR調達方針、ガイドラインを策定
2019年度 優先すべき人権課題を特定 大林組CSR調達ガイドラインに関する
アンケート調査を開始
2020年度 ・グループ全社員を対象に、
社長メッセージを配信
・現状把握の実施(大林組)
・「大林組CSR調達方針、ガイドライン」を
「大林グループCSR調達方針、
ガイドライン」に改称
2021年度 ・「大林組人権方針」を
「大林グループ人権方針」に改称、改訂
・現状把握の実施(国内グループ会社)
・ヒューマンライツ専門委員会の設置
・トレーサビリティ調査の開始
(海外調達木材、太陽光パネル)
・サプライチェーンマネジメント
専門委員会の設置
2022年度 ・現状把握の実施(海外グループ会社)
・人権デュー・デリジェンス実施における
ロードマップの策定
・外国人労働者の雇用状況調査の実施
2023年度 ・国内グループ会社への取り組み展開
(サプライチェーンへのCSR調達方針の周知、
外国人労働者・技能実習生の雇用状況調査
およびヒアリング)
・主要事業部への人権モニタリングを試行
・グループ会社サプライチェーンへの
CSR調達方針の周知

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人権デュー・デリジェンスのPDCA

国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、大林グループは人権に対する負の影響の特定・評価、防止・軽減、モニタリング・実効性評価、説明・情報開示のPDCAサイクルを回しています。

P 負の影響の特定・評価

主な人権課題の特定・評価については、まず事業およびサプライチェーンを大林グループの主な事業である建設事業、不動産開発事業、新領域事業(主に再生可能エネルギー事業)に分け、ステークホルダーごとにリスクを洗い出しました。次に、各国政府やNGOのレポートなどを参照し、専門家のアドバイスを得るなどして、洗い出したリスクを評価しています。こうした取り組みを踏まえ、ステークホルダーに関する優先的に取り組む人権課題(顕著な人権課題)を特定しています。

D 負の影響の防止・軽減

大林組では適切な労働環境の整備のために、主要事業である建設事業において「安全労働衛生マネジメントシステム」を運用しています。本マネジメントシステムでは、労働環境の改善に寄与する「安全衛生管理能力の向上、教育の強化」「健康に配慮した職場環境づくりの推進」を重要な目標としています。

サプライヤーに対しては、大林グループCSR調達ガイドラインの遵守を求めています。毎年度、このガイドラインの周知を図るとともに遵守状況に関するアンケート調査を実施しています。回答各社に対してフィードバック資料を送付し、取り組み改善を促すことで、特定した顕著な人権課題について負の影響の防止・軽減に努めています。

C モニタリング・実効性評価

「安全労働衛生マネジメントシステム」の運用に際しては、目標達成に向け具体的な実施策を定めてPDCAサイクルを回し、実施状況を定期的にモニタリングすることで、継続的な安全衛生管理活動の改善を目指しています。

また、ヒューマンライツ専門委員会およびサプライチェーンマネジメント専門委員会で、人権デュー・デリジェンスの各種取り組みや、サプライチェーンに対するCSR調達の進捗を定期的にモニタリングし、部門横断的に改善に取り組むことで、その実効性を高めています。

A 説明・情報開示

毎年度、最新の取り組み内容と指標などの実績について大林組のウェブサイトおよびコーポレートレポートで情報開示を行っています。

また、大林グループが事業を行っている英国・豪州・加国※の現代奴隷法に対応したステートメントを公開しています。

英国現代奴隷法および豪州現代奴隷法への対応

関連情報

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人権啓発活動

大林グループ人権方針のもと、人事担当役員を委員長とするヒューマンライツ専門委員会を定例として年1回、その他、必要の都度開催しています。本委員会では、人権侵害の防止および人権課題の把握とその解決を目的として、人権啓発研修の実施状況についてのレビューや今後の研修計画の立案のほか、メンタルヘルスケアやハラスメント防止などに対する取り組み、障がい者雇用の促進など、事業内容や地域性に応じた課題にあわせて人権啓発を推進しています。

人権尊重を徹底するため、事業に関わるすべての人に対して「大林グループ人権方針」の理解・浸透に努めています。イントラネットやウェブサイトへの掲載により社内外に周知しているほか、全社員を受講対象としている階層別のテーマ別研修を通じて定期的に周知しています。取引先に対しては、「大林グループ人権方針」のほか、「大林グループCSR調達ガイドライン」に人権の尊重に関する項目を明記し、周知することで理解と支持を求めています。

人権啓発研修

大林グループでは、入社式に続いて、新入職員を対象とした人権啓発研修を実施しています。研修では、企業が人権尊重に取り組む理由や、研修を実施する意義、また、人間が持っている偏見や差別意識について解説し、大林グループの一員として、社会的責任を持った行動をするよう促しています。

また、全社員を対象に、定期的に人権啓発研修を実施しています。階層別のテーマ別研修では、それぞれの職層に応じたテーマに焦点を当て、人権問題を主体的に捉えた研修を実施しています。内容としては、ハラスメント、SOGI(性的指向と性自認)、障がい者、部落差別、外国人労働者、メディアリテラシー、ジェンダーなどの身近な人権テーマや、ビジネスと人権に関する世界的な動向などをテーマとして取り上げ、常に最新情報にアップデートして研修を実施しています。

人権啓発研修に加え、人権デュー・デリジェンスを積極的に推進していくため、2021年度は、グループ全社員を対象に社長メッセージを発信しました。

以降、「ビジネスと人権」に関するeラーニングを、毎年テーマを変えて、国内グループ会社の全社員(出向受入・派遣社員を含む約18,000人)を対象に実施しています。

年度 テーマ 受講率
2021 大林グループのビジネスと人権 95.4%
2022 外国人技能実習生問題について 95.6%
2023 人権尊重・環境保護の観点から視た資材調達 94.1%
2024 サプライチェーンと人権について 96.1%

これらの研修では、大林グループの人権方針、CSR調達方針、救済窓口についても周知し、理解浸透を推進しています。

※1 ISO26000
2010年11月に国際標準化機構(ISO)が発行した、社会的責任に関する国際ガイダンス規格

ハラスメント対策

本対策の専門部署であるハラスメント対策室を中心に、ハラスメント根絶に向けて積極的に取り組んでいます。ハラスメントに関する会社方針やハラスメントの定義などを具体的に記載した「ハラスメント防止ガイドライン」を制作し、全社員に周知するだけでなく国内外の全グループ会社に展開しています。また、全社員を対象に、ハラスメントに関連するテーマを取り上げたeラーニングを毎年度実施しているほか、ポスターの掲示や携帯用リーフレットの配布なども定期的に実施しています。

人権週間の活動

国際連合が世界人権宣言を採択した12月10日は「世界人権デー」として国際的な記念日となっており、日本では、毎年12月4日から10日までの1週間を人権週間としています。

大林グループでは、人権意識の醸成のため、人権週間に合わせて、社員とその家族から募集した人権啓発標語の優秀作品を選出し、表彰するとともにポスターで社内各所に掲示しています。また、各本支店においても、人権週間に合わせて、人権をテーマとした研修を実施するなど、社員に人権尊重の意識向上に向けた取り組みを進めています。

人権週間に合わせて社内研修会を実施

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