海を臨み、365日絶え間ないにぎわいを育むアリーナ

#26 GLION ARENA KOBE

GLION ARENA KOBE(ジーライオンアリーナ神戸)は、B.LEAGUE所属のプロバスケットチーム・神戸ストークスが活動拠点とするアリーナです。兵庫・神戸港沿岸の270度海に囲まれた突堤に2025年に誕生しました。

かつて輸出入の拠点として栄えたこのエリアでは、港湾物流機能からにぎわいや交流を創出する機能への転換に向けた開発が進んでいます。神戸市は2011年頃から、ウォーターフロントエリアと三宮・元町エリアとの新たなネットワーク構築や、居心地がよく歩きたくなる街の実現を掲げてきました。そうした流れの中で官民が連携し、突堤というロケーションを最大限に生かして計画された民設民営のアリーナがGLION ARENA KOBEです。

近接する神戸最大の繁華街・三宮エリアとウォーターフロントエリアがつながり、神戸の街全体のにぎわい創出に貢献する

幅約65mという細長い敷地において、1万人収容をかなえ、夜景に映えるV字型の象徴性と環境負荷低減を両立。試合がない日も含めた、365日絶え間ないにぎわいをどのように実現したのか──その設計手法をひもといてご紹介します。

新港第二突堤に立つGLION ARENA KOBEは、神戸ウォーターフロントの新たなランドマークとなる

地形に呼応した建物形状

V字形状のシルエットが特徴的な外観。北側(写真左)には六甲山を望む

神戸の街は、南を瀬戸内海に、北を六甲山地に挟まれ、海と山の存在を至近に感じられる地形がその魅力の一つです。GLION ARENA KOBEはその地形に呼応するかのように、南北の海と山に向かって広がるシルエットを形成することで、ウォーターフロントの新たなランドマークとなる印象的な外観を実現しました。

南は瀬戸内海に、北は六甲山が広がるGLION ARENA KOBEは海と山が出会う場に位置する
水平な屋根で閉じるのではなく、海と山に向かって開くようにV字の屋根形状とした

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細長い敷地が生み出したスタンドレイアウト

バスケットボールをはじめとしたスポーツにもコンサートにも適した馬蹄型の座席配置を採用した内部空間

GLION ARENA KOBEの敷地は短辺方向が約65mと、1万人収容のアリーナ敷地としては極端に狭く、スタンド(観客席)をどのようにレイアウトするかが大きな課題でした。そこで、一般的には敷地の長辺方向に合わせて配置されるバスケットボールコートを90度回転させ、ゴール裏の一辺のスタンドを取りやめて馬蹄型スタンドとし、スペースを確保できるコートサイド方向に多段スタンドを計画。これにより1万席を確保し、各座席からコートやステージが近い、臨場感のあるアリーナを実現しました。

  • オーバルタイプ
  • U字型タイプ

一般的なアリーナ配置

U字型タイプ

GLION ARENA KOBE

GLION ARENA KOBE 内観写真(スタンド上からアリーナを見下ろす)

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大規模アリーナとして国内初のZEB Readyを取得

アリーナ冷房時の熱シミュレーション。V字型の屋根形状によって室内空間の容積を最適化したことで、観客席一帯を快適な温度に保ちながら、南北上端部で効率的に排熱している

内部空間は、座席スタンドの断面形状に沿うV字型の屋根形状によって容積を最小化し、効率的な熱気抜きを可能としました。加えて、温度や気流分布のシミュレーションに基づいて客席配置と屋根形状に合わせた最適な空調システムを導入することで、効率的にアリーナ・スタンド周辺を空調できる計画とし、収容人数1万人規模の大規模アリーナでは国内初となるZEB Ready(※1)認証を取得しました。

  • ※1 ZEB Ready
    省エネルギーによって50%以上の一次エネルギー消費量削減を実現する建築物

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海に囲まれた突堤に新たなにぎわいを生む

GLION ARENA KOBE 外観(敷地北からメインエントランスを見る)

アリーナ施設は、その機能特性から音や光を遮断するために閉鎖的になることが多いですが、GLION ARENA KOBEでは、南北の出入口に加えて西側に連続した開口を設けるなど、開放的な計画としています。上層階には四方を眺められるテラス、低層階には屋内外から利用可能な店舗を配置したことで、試合やコンサートの開催日だけでなく、日常的に眺望や食事を楽しめる環境を整えました。これにより、スポーツやエンタメの既存ファンだけでなく、家族連れや観光客など、来場者層を幅広く拡大することを目指しています。

また、突堤の東西それぞれの海に沿った幅約20mの国有地は、GLION ARENA KOBEの建設に合わせて、神戸市によって公園化されました。アリーナと一体的に整備することで、敷地境界を越えた連続したデザインを実現し、店舗、滞留空間、人々が行き交う動線、海のレイヤーが緩やかにつながり、西側通路に新たなにぎわいと風景を生み出しています。

GLION ARENA KOBEのにぎわいを、店舗周辺だけでなく2階のデッキや敷地外の公園、海際まで緩やかにつなぎ、多様な店舗を利用できる空間とする
店舗が連なる西側通路は、植栽計画によって敷地外の公園や海と緩やかにつながる
西側通路南から北(三宮方面)を望む
四方を眺めることができる4階テラス

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工期短縮を実現した構造計画

V字型の屋根には、強じんなワイヤーで引っ張る「タイドアーチトラス構造(※2)」を採用しています。同形状のタイドアーチトラスを、中央部が低く外側が高いアリーナ観客席の勾配に合わせて配置することで、建物高さを極力抑えつつ躯体の軽量化を実現し、狭あいな突堤内での短工期施工を可能にしました。

  • ※2 タイドアーチトラス構造
    アーチの弓状部分にトラス構造を採用し、両端をタイ(ひも状の引っ張り部材)で結ぶことで、アーチが外側に広がる水平力を負担する構造形式
トラスの変形イメージ(整形な形状からアーチへ)
構造概念図

また、アーチの東西側の控え架構部分を設備置場とし、目隠し壁を設けることで、どの方向から見ても「裏」のない特徴的な外観を実現しています。

北面外観

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記者やカメラマンが競技直後の選手を取材するためのミックスゾーンは、直線的な天井照明が印象的
コンコース
神戸の「1,000万ドルの夜景」になじむ夜間照明

海と山が出会う神戸の地形に呼応し、ウォーターフロントの風景に新たなV字の輪郭を描くGLION ARENA KOBE。イベントの熱気だけでなく、日常の時間も受け止めながら、365日絶え間なく続くにぎわいを街へと広げていきます。

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