切羽作業の完全無人化を実現する火薬装填技術

自動火薬装填システム

カ触覚技術「リアルハプティクス®」を応用し、遠隔操作で安全に火薬装填作業を行います

自動火薬装填システムとは?

⼭岳トンネルの掘削作業では、掘削⾯(切⽻)で岩⽯が落下する「肌落ち」災害の対策として、⼤型重機による作業の遠隔化・⾃動化が進んでいます。⼀⽅で⽕薬の装填(そうてん)・結線作業は、⽕薬や雷管(※1)などの危険性が⾼い材料や細い脚線(雷管につながる線やチューブ)を取り扱うことに加え、凹凸のある孔(あな)に⽕薬を正確に装填する必要があります。そのため、繊細な⼒加減や⼿指の感覚が求められ、機械による遠隔化・⾃動化が困難でした。

本システムは、遠隔で⼒触覚を再現する技術(リアルハプティクス(※2))を応⽤し、⼭岳トンネルの切⽻における⽕薬の装填作業を遠隔化・⾃動化するもので、切⽻作業の完全無⼈化を実現する連続⽕薬装填技術です。

本システムは、NEDOの「官⺠による若⼿研究者発掘⽀援事業」(以下、若サポ(※3))の⼀環で、慶應義塾⼤学の野崎貴裕准教授らの研究グループと共同で開発した技術です。

自動火薬装填システムの現場適用(動画再⽣時間:3分52秒)

自動火薬装填システムの構成と特⻑

  • ⼤型重機で装填ロボットを装薬孔の近くまで移動後、切⽻から離れたオペレータ室で装薬孔周辺をモニターで確認しながら、遠隔で⽕薬を装填します。
  • リアルハプティクスにより装填ロボットの⼒触覚が作業者に伝わるため、あたかも切⽻で直接作業を⾏っているような直感的な作業が可能です。
  • 起爆用爆薬(親ダイ(※4))の供給装置を搭載することで、⽕薬の供給を機械化し、装填ロボットへの⾃動取り込みが可能です。
  • 装填ロボットに搭載したステレオカメラで、装薬孔の位置や装薬孔とロボットの⾓度を検知し、装填ロボットを⾃動誘導した後、親ダイ、増ダイを自律的に装填することも可能です。
  • 脚線の絡まり防⽌策を講じており、複数孔への連続装薬が可能です。
  • 切⽻での装填作業の完全無⼈化を実現するとともに、作業者1名で連続的な装填作業が可能です。
⾃動⽕薬装填システムの構成イメージ
  • 切羽に移動した、親ダイ供給装置を備えた装填ロボット

  • モニターと⼒触覚情報を再現するリモコンロボット

  • 親ダイ供給装置を搭載した装填ロボット

  • 親ダイ供給装置の概要

お客様のメリット

切⽻作業完全無⼈化による安全性の向上

  • 作業員が切⽻直下に⽴ち⼊ることなく、装薬孔に⽕薬装填作業が可能です。
  • 「親ダイ供給装置」を搭載しているため⽕薬供給から装填まで、切⽻作業の完全無⼈化を実現します。
  • リアルハプティクス技術による力触覚を活用することで、危険物である親ダイに過度な負荷をかけることなく装填できます。

連続的かつ円滑な⽕薬装填作業による省⼈化

  • 脚線補助治具の使用や装填順序の工夫など、脚線の絡まり防⽌策を講じており、複数孔への連続的かつ円滑な装薬が可能です。
  • 従来、5人で⾏っていた装填作業を作業員1人で行えるようにし、省⼈化を実現しました。
  • ※1 雷管
    わずかな熱や衝撃でも発⽕する⽕薬を筒に込めた⽕⼯品で、トンネル掘削では電気雷管や導⽕管付き雷管が使われる
  • ※2 リアルハプティクス
    現実の物体や周辺環境との接触情報を双⽅向で伝送し、⼒触覚を再現する技術。⼈間が物体に触った際に感じる硬さや柔らかさ、⾵船のような弾⼒、⾃律的な動きなどの⼒触覚を伝送することで、遠隔にいる操作者の⼿元で同様の⼒触覚が再現できる。慶應義塾⼤学では、⼒触覚技術が⽰す学術的な成果を応⽤し、広く医療・産業界に普及させることを⽬的として2014年にハプティクス研究センター(センター⻑:慶應義塾⼤学新川崎先端研究教育連携スクエア ⼤⻄公平特任教授)を設置し、研究開発を進めている
  • ※3 官民による若手研究者発掘支援事業(若サポ)(NEDOウェブサイト)
    本研究開発は、若サポ・共同研究フェーズとして2021年度から進めている
  • ※4 親ダイ
    爆薬に雷管を取り付けた薬包(本試験ではφ25mm×100gの紙巻含⽔爆薬と導⽕管付き雷管を使⽤)
  • ※5 脚線結線
    電気雷管や導⽕管付き雷管などの雷管を起爆させるための脚線を結ぶ作業

【実績・適用例】

  • R4国道20号新笹⼦トンネルその1⼯事(国⼟交通省関東地⽅整備局発注)
  • 三遠南信⾃動⾞道 三遠南信6号トンネル⼯事(国⼟交通省中部地⽅整備局発注)

【その他】

令和7年度岩の力学連合会技術賞

令和8年度日本建設機械施工大賞 大賞部門 優秀賞

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